Mr Price Pro (prime) – Round of 96

南アフリカ・バリートでスタートした『Mr Price Pro』はプライムイベントなので、
出場選手96人全員がラウンドオブ96からのスタート。
僕はヒート22で、グレン・ホール、ジョナサン・ゴンザレス、ジャノ・ペロと対戦しました。

30分ヒートの序盤からグレンにかき回され、10分ほど経つとジョナサンの僕へのマークが激しくなり、
僕とジョナサンが波の取り合いをしている間、ブラジルのジャノがノーマークのまま、次に良い波をつかみ、
グレンとジョナサンはアウトに着くと、再び波を分け合うかのように良いサイクルを引き込んでいました。
まるで2人は、ジャノは視界に入れず、僕ばかりを波に乗せないようにしているかのようでした。
セットが来ても、良い波はその中に1本だけ。
ミドルとアウトで挟まれた僕は、1本もその波をキャッチできずにいました。
終盤になればなるほど2人のマークは更に激しさを増し、
ラスト3分。5点台をようやくスコアし逆転に必要なスコアを7点まで近づかせましたが、残り時間は僅か。
沖のピークにはジョナサンが、ミドルにはグレンが。
僕は悩んだ末、沖のピークへ向かうことにしました。
ミドルにはグレンがいたし、その位置からでは、アベレージ以上のスコアが出せる見込みがないから。
でも、沖に行くにもグレンが立ち往生し、着いた頃には残り1分を切り、
最後の最後まで2人のマークに挟まれ、良い波に乗ることはできませんでした。
今までツアーを回ってきて、味わったことの無いような、前半からの激しいマークでした。

ヒートが終わり、激しい怒りだけが残りました。
でも、ホテルに戻り、冷静さを取り戻すと、
『自分は今まで、彼らのような、そんな激しい戦い方をしていただろうか?』
ということに、気づきました。
サーフィンは個人技ですが、乗る波が大きく左右し、そして同じ条件の中での対戦相手も存在する。
そういう相手に『ぶん殴ってやる』『ぼこぼこにしてやる』と思わせるぐらいの、
生きるか死ぬかの勝負に対するどん欲さ、執着心が僕には無いと気づきました。
一人で海に入って演技をするのではなく、必ず対戦相手がそこにいる。
ジャッジが妨害をコールしない限り、いかなる行為でもありなんだと。
今回負けたことはとてもがっかりしたし、悔しかったけれど、
それ以上に、もっともっと自分に必要なことが得られたと思います。

これまでは、こんなマークをされたことが無かった僕に、
『相手のリーシュを引っ張ってでも、相手のゼッケンを掴んででも勝つ』
グレンとジョナサンは、そのことを教えてくれたと思います。
『こいつには乗らせない』と思ってくれてありがとう。
次は必ず乗って、勝ち上がってみせるよ。